高専ロボコン 東海北陸地区大会をみて お気持ち

公開日:2022/10/24 05:16
最終更新日:2022/10/24 05:16

はじめに

こんにちは。すずともです。
ひとつ前の記事 「高専ロボコン 東海北陸地区 結果とちょっと考察してみた!」 で高専ロボコンの応援にいった結果と簡単な考察をしました!

上の記事では考察と言っても、今年の特徴・傾向みたいなのをまとめるだけで終わりました。
"おわりに" でも述べていますが、個人的には今年のロボコン、思うところがいくつか...

この記事では思うところをちょっと厳しめに書いていこうと思います!
(現役の人たちで読んでくださっている方がいるならば、もしかしたらやる気を失くしてしまうかもしれないので、ブラウザバックか心を落ち着かせてみるといいかも笑)

あらかじめ断っておきますが、あくまでも本記事の内容は

  • すずともが個人的に思っていること であり、
  • 他の地区の試合はろくに見ていない 人が書いている

ため、他地区には当てはまらなかったり、事実じゃないこともあったりするかもしれません。
異論はもちろん認めますので、遠慮なくTwitterで教えてください笑

ルール(NHK・運営側) についての不満

まずは、ルールの不備というか、運営に対しての不満点をいくつか。

① 「風」が競技に大きく関わるのは難しい

風は目に見えません。ピンポン玉をドライヤーみたいなもので浮かせて、運ぶという競技であればまだしも、
「紙飛行機」というのは、あまりにも不確定要素が多すぎて、とても難しい競技になっているという印象を持ちました。

競技が難しいだけならまだ、いいのですが、問題は会場の空調を入れれないこと。
競技中は試合に影響してしまうので、会場の扉はすべて閉め、空調も止めていたそうです。なのでまぁ暑いことw
コロナ予防的にもNHKがやるにしては あまりよろしくない。

② 時間が短い

①とも関わってくるのですが、風が見えない敵である以上、やはり1発で成功!というわけにはいかないようです。
僕が見た東海北陸地区は1つ載せるのにも一苦労。Vゴールを狙いたかったら、あのペースだと少なくとも3分は必要かなと思ってみます。
(同日にあった近畿地区ではV出たとか)

③ 全体的に難しすぎる

①でも②でも言っているのですが、全体的に難しすぎるルールだと思います。
個人的には、もっと本当に簡単に得点が入る箇所があると、0点で終わるチームが少なく、選手のモチベーション的にも、テレビ映え的にもよかったんじゃないかなと思います。
(例えば、2mx2mの区画に入れば1点入るようにして、台とか筒とかに乗れば10点、50点とか?)

今回のルールでは、手前の台に載せるためにもそれなりの工夫のいる機構が必要です。
ただこれだと、学生目線では難しい上、最低でも点数が入るロボットのプロトタイプすら作ることができず、だんだん制作のやる気も失われていく気がします。

視聴者目線からだと、0対0で終わる試合が多いとちょっと、というか大分面白くないです。
実際に東海北陸地区大会では、通しの試合順で⑩~⑮の6試合連続 両チーム無得点で終わっています。

④ 同じフィールドで戦う意味

基本的に高専ロボコンでは、赤ゾーン、青ゾーンで対象的にフィールドが設計されており、チームごとにフィールドが分かれているのでロボットが直接接触するルールは少ない傾向にあります。
近年だと、「大江戸ロボット忍法帖(2017)」がロボットが直接接触するルールになっており、「かなり久しぶりだね!!」という感じで少し盛り上がった記憶があります。

高専ロボコンの魅力は「妨害行為」。妨害と言っても悪い意味ではありません。
正式にルールに記載された方法ならば相手の点をVゴールを阻止したり、得点できないようにしたりすることができます。

2017年のような同じフィールドを両チームで共有するルールでは、「妨害」の定義は割と緩く、相手のロボットを押したりしてもいいことが普通です。
でないと同じフィールドで戦う意味がありませんからね。

しかし、今年のルールは"相手のロボットの進行を妨害する行為は禁止"となっています。ルールを見た感じ故意、過失関係ないと思われます。
????
自分の紙飛行機で相手が台に乗せた紙飛行機を落とす妨害行為は許されていますが、そのくらいです。
ロボットが動けるフィールドも狭いため、自動で制御していては、すぐ当たりそうになってしまいます。
そのため、足回りの操縦に関しては手動必須 という感じでしょうか。

なんかアイデアの幅を狭めている感じがします。

おそらく、オンライン大会になる可能性も含めて、各高専のフォール度制作の負担を減らすために、同じフィールド共有するのかなとも思ったのですが、
それにしてももうちょっと面白くなるルールは作れなかったものかと感じてしまいます。

⑤ テイクオフゾーンにライントレースに使える白線がない

以前の競技では、フィールドにあらかじめ決められた場所に白線が引かれているものがありました。
これは、運営側がロボットの自動化を期待してフィールド設計されている証です。

しかし今年のフィールドには白線がありません。これでは、エンコーダと呼ばれる部品を用いなければロボット正確な位置を取得できません。
ライントレースはロボット作りの基本で、ライン読みさえできれば自動制御は割と簡単にできてしまいます。
ただ、ライン(白線)がないとなると話が別です。一気に自動制御の難易度が高くなります。

高専ロボコンにおいては、不確定要素をできるだけ無くすことが安定して動くコツです。
紙飛行機の不確定要素はほぼ消すことが無理なので、せめてロボットの位置制御ぐらいは自動で正確に行いたいところですが...

④の理由も合わさって、本大会では自動制御が使われる可能性・利点はほぼ無くなっているといえるでしょう。
なんかアイデアの幅を狭めている感じがします。

⑥ 赤・青ゾーンがほぼ固定なのは良くない

東海北陸地区大会では、4チームごとのグループに分けられ予選ラウンドが行われました。
各チームには1,2,3,4の番号がついていて、

  • 第1試合は1,2のチーム
  • 第2試合は3,4のチーム
  • 第3試合は負けたチーム同士
  • 第4試合は勝ったチーム同士

という具合で4試合をしてグループ内の1位を決めます。
そして、ゾーンの決め方は、番号の小さい方が赤チーム、大きい方が青チーム という決まりです。

しかしこれだと、番号が1のチームはどの相手と戦うにしてもずっと赤チーム、番号が4のチームも同様にずっと青チームと確定で決まってしまいます。
各高専の練習環境はさまざまであり、お金や場所の関係から両方のゾーンを用意するのは難しいチームもあります。
今年のルールではフィールド自体は共有しており、足回り等で自動化できる部分も少なそうなので、大きな影響は無かったかもしれませんが、それでも得手不得手は少なからずあります。(紙飛行機の特性など)

せっかく数年前からチームの全力を発揮できるように予選をリーグ形式にしたのですから、ゾーン分けをもうちょっと上手くしてほしかったなと思います。

⑦ 予選の方式がおかしい

高専ロボコンでは予選ラウンドと決勝トーナメントに分かれています。
以前は全チームトーナメントだったのですが、近年になって方式が変わりました。

理由は、たまたま不調で動かなかったチームがあったとしても1回戦で負けてしまえば、素晴らしいアイデアを披露する機会が失われてしまうからです。
たとえ1回失敗してしまったとしても、複数の戦術があったとしても、しっかり自分たちのロボットのアイデアをアピールできるようにと、予選ラウンド方式になりました。

これ自体はとてもいいことです。ただ、以前の予選ラウンドは3チームの総当たりだった気がします。
しかし、今回の東海北陸地区大会は4チームのグループで他の2つの違うチームと戦うというルールになっています。(詳しくは⑥のところに書いてあります)

決勝に進むためには、予選1位通過が必須です。
本ルールでは引き分けがないので、第1,2試合で勝ったチーム同士が第4試合で戦い、必ずどちらかのチームが2勝することになります。
グループ内では2戦しかしないため、つまり全勝しないと決勝にいけないわけです。
もっというと、負けた時点で終わり。これではトーナメント戦とあまり変わりません。

それでは、予選第3試合は何のために行っているのでしょうか?順位付けのため? それも違います。
負けたチーム同士の対戦では、必ず1勝と0勝のチームが出来ます。勝った同士の対戦では、必ず2勝と1勝のチームが出来ます。
すると、グループ内に1勝のチームが2つできますが、この2チームは対戦することがないため順位が決まりません。

予選第3試合は、結局のところ、負けたチームによるエキシビションマッチという感じでしょうか。
選手からすると(決勝進出という面で)勝ち目がほぼない試合をしていることになるので、面白みがありません。敗者復活戦でもあれば別なのですが...

希に本当に素晴らしければ、審査員推薦で決勝行っていないチームが全国枠に入ることも考えられなくはないですが。



ということで、ルールに対する不満はこんなところにしときましょうか笑

参加者についての不満

お次は、参加者(選手・ピットクルー・各高専の部員の方たち)についての不満 を書いていこうかなとw

① 紙飛行機に対する斬新なアイデアがあまり見られなかった

ほとんどのチームの紙飛行機は、いわゆるベターな形をしていました。
紙飛行機に対するアイデアとして見られたのは、大きさぐらいだったでしょうか。
また、細かい調整(翼の大きさや角度など)も行っていたとは思うのですが、視聴者からするとあまりわかりません

おそらく、試行錯誤していくうちに、紙飛行機の調整よりもロボットの機構の調整の方が重要視されていたのでしょうか。
しかし、上にも書いたように「風」が相手のため不確定要素が多いです。そのため、ロボットの調整もうまくいかず、結局紙飛行機のアイデアもロボットの出来も中途半端になっているのではないかと感じました。

個人的には、ルールに抵触しない範囲(あたりまえだけどw)でもっと斬新な、こんなの紙飛行機って言っていいの??っていう紙飛行機を見たかったです。
(僕には想像力が足りなくて想像もできませんが、想像できないことをやってくるチームがいるから高専ロボコンは面白いんです。)

まだ九州地区と全国が控えてるのであまりアイデアは言いたくないんですが、友人と話していたものとしては、「紙飛行機の下に棒のようなものが付けれれば、それが台に引っかかって安定して載せることができそう」という感じでしょうか。(1枚の紙からそんなものができるのかわかりませんがw)

② ロボットが1台ならそれなりの工夫があるとよかった

今年のルールはロボットが1台のみでした。展開は可能ですが、分離は不可というシンプルなルールです。
そして選手は3人います。ほとんどのチームは、1人が操縦、1人が横で見て誘導、もう1人は?
意外と1人余るんですよね。
例えば、1つのロボットに搭載されている2つの機構を2人で独立して制御できたら面白そう(というかもっと派手になりそう)と思ったり…

これも、コロナ禍における制作環境(時間やお金)の負担を減らすための運営側の配慮なのでしょうが、そこを逆手に取れば、他を圧倒できるロボットになるのではないでしょうか。

④ 服装…

あのー。これは僕の後輩もそうだったので、元部長の立場としてあまりガミガミとは言えないですが…

ピットクルーにパーカーを着ている人が何人か見られました。まぁ確かにパーカーはおしゃれなんですが、フードがロボットや工具などに引っかかるとかなり危険です。僕が現役の時は基本的にパーカーは禁止という風潮がありました。

ここら辺はマナー・エチケット的な話ではあるのですが、理想の服装としては、

  • 長袖長ズボン(もちろんフード付きはNG)
  • 長髪は結んだり帽子をかぶったりして巻き込まれないようにする。(できれば切ってしまった方がいいけど特に女子の場合はそう簡単に切れないからね)
  • 靴はきちんとしたスニーカーを。(サンダルはNG、本当は安全靴がいいと思われ)


実際には季節にもよるので、長袖長ズボンに関しては別に半袖でもいいと思いますが、肌の露出が増えるのでけがのリスクが増えるということは頭に入れておいた方がいいと思います。

もちろん、普段の活動からこの服装ができたら完璧ですが、やっぱり部活の前後に友達と遊ぶときとかはパーカーを着て行きたかったりするので普段からこうしろとは言いません。
ただ、天下のNHKの高専ロボコンに出場するからには、意識した方がよいでしょう。
なぜなら、もしそれが原因で事故が起こってしまったとしたら、高専ロボコンの存続が危うくなるかもしれない…とまでは言いませんが、何かしらの規制が厳しくなると思うからです。
そうならないように、(媚びを売るようでなんですが)NHKの前ではきちんとしましょう!

おわりに

こんな感じで、高専ロボコンを見て、お気持ちを書いてみました。
ちょっと長くなりましたが、言いたいことは言えたのですっきりしてます笑

高専ロボコンは他とは違って「アイデア対決」という前置きがあります。
高専ロボコンにおける最高賞は、「ロボコン大賞」であり、ロボコン大賞は全国大会でトーナメント1位になったから必ずもらえるというわけではありません。

ここがまた難しいところで、ロボコン大賞と点数で1位になるのとでは、ロボット制作のベクトルがちょっと違います。
なので、「全国優勝」という同じ夢を持っている人同士でも、解釈の違いで分断が生じてしまうこともあります。

ただ、そのふわふわしている部分が、全51校55キャンパス110チームのそれぞれの個性となり、見ている側も飽きずに見ていられる大会になっている所以でもあります。

ロボコニスト老害としてこれからの後輩たちの活躍を楽しみにしています!