アイドルゲームにおける声優起用の難しさついて

公開日:2023/04/28 06:25
最終更新日:2023/04/28 06:25
この記事は完全に個人の感想であり、リサーチ不足において事実に反することや偏見が含まれている可能性もありますのでご了承ください。


はじめに

私は、アイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム「Tokyo 7th シスターズ(通称:ナナシス)」をよくプレイしています。
ナナシスはリリースから8年ほどたっており、様々なキャラクター・ユニットが存在し、現在(2023/4/28)ではキャラクター数 72、声優起用数 56人となっています。

ナナシスではリアルライブもあるのですが、声優を56人も起用するとなると当然スケジュールの管理が大変になってくるのは目に見えてわかると思います。

また、56人の中には、当然売れっ子声優や、あまり名前の聞かない声優もいるわけです。(僕があまり声優に詳しくないのもあるけれど...)
新人声優やなかなか人気の伸びない声優さんたちでもナナシスの中では重要なポジションを担っていたりするのです。

そこでふと思いました。そのような人たちが8年間この業界で生きていく保証というのはどこにあるのだろうか。

そこで、ナナシスのような多数の声優さんを抱えるゲーム(いろんなジャンルがあると思うが、ここではアイドルゲームとしておこう)について、声優を起用するという面からみていきたいと思います。

アイドルゲームとアニメの違い

同じ声優を扱う「アイドルゲーム」と「アニメ」の違いを自分なりにまとめてみました。

起用期間

アニメの場合、一般的に1クールで終了するため、その収録期間、声優を起用すればいいです。そのため、収録期間中に引退することはめったにないと思います。第2期を制作するときに、前回と全く同じ配役ができればラッキーといったところでしょうか。
しかし、アイドルゲームの場合、明確な終わりが決まっておらず、時間がたつにつれて楽曲やエピソードが増えていくというパターンが多いです。その間に引退されてしまう声優さんがいてもおかしくないですね。

キャラの立ち位置が固定

アニメの場合、主役・脇役・エキストラなど、ある程度キャラクターによって立ち位置が決まっています。そのため、主役には人気の声優さんを、というような起用の方法ができるため、主役級の声優さんが(資金難などで)引退というのは防ぐことができます。さらにめったに出てこない脇役やエキストラは声優が変更になってもそこまで大きな影響はありません。
一方、アイドルゲームの場合、もちろんメインキャラクターはいますが、ほかのキャラクターにも焦点を当てた楽曲やエピソードが作られることが多いです。つまり全キャラクターが主役になる機会があるということです。そのためアニメのような起用方法や、声優の変更は厳しい面があります。

キャラクター数

アニメの場合、毎話出てくるような重要なキャラクターは数人程度であることが多いと思います。キャラクターが多いアニメがいたとしても1話限定での出演(毎話敵が違うみたいな)だったりするわけです。
アイドルゲームの場合は、キャラクターが多いことがほとんどです。それは、多くの人にゲームを遊んでもらうために、さまざまなタイプのキャラクターを用意しておきどれかを推しになってもらうような手法をとっていることが多いからです。例えば、温泉むすめなんかは、各温泉地にキャラクターを配置することで、その地域のオタクを引き込んでいるという感じですかね。

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というように、アイドルゲームでは声優起用において不利な面が多いことがわかります。

声優の収入事情

とここで、声優の収入事情は一体どんな感じなのか皆さん気になりませんか?w

裏事情はAIに聞いたほうが早いのでBing AIやChatGPTに聞いてみました。
ソースとか特別確認したわけではないので、実際とは異なるかもしれませんが、何となく雰囲気はつかめるかもしれません。
まとめると以下のような感じです。

  • 年収は、新人声優で約200万、5年目ぐらいで400万、売れっ子になると数千万。
  • 基本は歩合制が多いが、プロダクションによっては固定給が支払われるところもある。
  • 新人は30分のアニメ作品に出演すると、喋った量に関係なく15,000円程度の収入が入る。
  • ゲームの場合は新人で30円/1文字、ベテランで200円/1文字
  • 1日の収録時間が決められており、それを超えると残業代が発生する。
  • 作品が放送や配信で使用された場合、ロイヤリティという形で声優の収入になることがある。


まぁざっくりいうと当たり前ですが、起用されればされるほど、人気になればなるほど儲かるって話ですね。そして新人声優はなかなか厳しい面があるのかもしれません。
ちなみに個人的には、ロイヤリティの仕組みが面白いなと感じました。やたらと楽曲を出したがるのはこういう面があるのかもしれませんね。

現状

つまるところ、継続的に仕事がないと声優として生きていけないわけです。
プロダクションの売り込み方や、本人の才能もあると思いますが、どちらにせよ、ゲーム制作側は声優が継続的に仕事を得られるようにコントロールすることは難しいということです。

では、声優に継続的な仕事を与えるにはどうしたらいいのか...?

そこで出てきたのが「ゲーム会社が運営する声優プロダクション」です。ちょっと悪い言葉で言えば、声優の囲い込み、ということになってしまうのですが。

例えば、

  • 「響」:「ラブライブ」や「バンドリ」などを手掛けるブシロードの系列のプロダクション
  • 「ぺた株式会社」:「ナナシス」を作っているDonutsのプロダクション

という感じですかね。探せばまだあると思います。

このように、ゲーム会社が声優を雇うことで、自社のゲームに優先的に声優を起用できるメリットはもちろん、仕事がなくて引退しそうな声優には、仕事を与えれば引退の危機を免れることができます。

通常のプロダクションは、所属声優の推薦はできるかもしれませんが、あくまでも起用の決定権は相手側にあり、確実に仕事を与えることは難しいので、ゲーム会社のプロダクションにしかできない声優の救済方法ではないのかなと思います。

さいごに

今回は、アイドルゲームにおける声優起用の難しさについて述べてきました。
とはいえ、最近はゲームやアニメに対する偏見が少なくなり、TVに声優が出る機会が増えてきたなど、声優業界は盛り上がってきているので、そこまで心配することもないのかもしれせんが。

ちなみにですが、「ナナシス」の主人公である「春日部ハル」というキャラクター、CVは篠田みなみ(Twitter)さんという声優さんなのですが、実は、声優として初めての仕事が「ナナシス」であったわけです。(正確には初めて合格したオーディションではあるが。)
ナナシスは一応リズムゲームですが、エピソードに並々ならぬこだわりを持っており、茂木伸太郎という人が脚本を書いています。
茂木さんはゲームリリース当初から壮大なエピソードのイメージを持っており、作品のいたるところに伏線が隠されているわけですが、茂木さんのすべてを出し切るのに6年ほどかかっています。つまり、少なくとも「春日部ハル」を6年は生かさないといけなかったわけです。

それなのにもかかわらず、茂木さんは新人声優の「篠田みなみ」を起用しました。理由は"キャラクターのイメージにピッタリはまったから"だそうなんですが、この勇気、すごくないですか?